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本県産「信頼」保証します「ウナギ養殖厳格ルール」18業者足並みそろえ

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 ウナギ卸業者の産地偽装で消費者のウナギへの信頼が揺らぐ中、県内の養殖業者が養殖のルールを統一する。安全な農産物を生産するためのリスク管理手法である「GAP」(Good Agricultural Practice)の養殖ウナギ版で、適正な薬品使用などが定められている。7月10日には宮崎市内で説明会があり、業者のほぼ半数の18業者が賛同し、参加を決めた。全国に先駆けた取り組みに、関係者は「消費者の信頼をつかみ、本県産ウナギのブランド力向上につなげたい」としている。
 ウナギ養殖業者らは7月2日、特定非営利活動法人(NPO法人)セーフティー・ライフ&リバー(大森仁史理事長=大森淡水社長)を立ち上げ、安全なウナギを作るためのルールであるGAPを決めた。業者がGAPを順守しているかどうかを、年1回チェックする。
 GAPは有識者や養殖業者の意見を参考に作成。ウナギ用の医薬品や配合飼料、水の使用など7項目からなる。GAPを守り、生産されたウナギには産地証明書と安全シールが発行される。産地証明書は最終飼育地、飼育責任者、ウナギの残留医薬品検査者などが記載されている。
 NPO法人は18業者に3年間の保管義務を求める記録用紙や管理簿を配るほか、ホームページ上で業者名も公開する。養殖業者の一人、宮崎市佐土原町の蛯原和行さんは「そこまでやらないといけないのかとも思うが、生産者として(安全性を)アピールするには避けて通れない」と話していた。
 水産庁栽培養殖課は「2006年度に業界団体が養殖ウナギの適正養殖規範を作り、全国で普及を図っているが、こうした取り組みは聞いたことがない」としている。
 県内では2007年9月、ウナギ卸業者が台湾産を国産と偽り、出荷していたことが判明。県は卸業者2社を厳重注意した。その後、養殖、流通業者、消費者、県担当者らで委員会をつくり、再発防止策を検討した。
 2008年3月には、安心、安全なウナギ生産や積極的な情報提供など6項目の最終提言(防止策)をまとめた。この中で、GAPへの取り組みも盛り込まれている。県漁港漁場整備課は「県内全業者が統一したGAPで取り組めると良いのだが」と今後の展開に期待する。
県内の養殖業者は44。昨年の収穫量は3,725トンで、全国3位。

[2008年08月12日]

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